【Vol.3】見えない“現金不正”が利益を奪う――少額でも積み重なれば致命傷に
忙しい時間帯、レジ前で起きるのはミスだけではありません。返金・値引き・取り消し…。
“少額×高頻度”の現金不正は、驚くほど目立たずに積み上がります。
本稿では、飲食店で起こりやすい横領の実態と、POSジャーナルの全件解析で“見えない損失”を止める方法を解説します。
店舗のリアル:小さな不正が“毎日”起きる
典型的なのは、返金・値引き・取り消しの悪用です。例えば、忙しい時間帯に割引を適用したことにして現金を抜く。
あるいは会計後に取り消しをかけ、現金はポケットへ。
帳票だけ追っていても、“理由が付いた動き”は正当化されて見えます。
しかも、こうした不正は少額×高頻度で積み重ねられがち。
例えば「1日1,000円」の不正。月にすると 3万円、年間で 36万円。
100店舗規模なら 3,600万円/年 にもなります。
利益率8%の店舗では、この年間36万円の不正による損失を埋めるには、 売上で約450万円 が必要。
100店舗規模なら、不正額3,600万円を埋め合わせるために 4億5,000万円の売上 が必要になります。
守るべきは売上ではなく、利益そのものです。
なぜ普通の店舗で起きる?――不正のトライアングル

不正は特別な人だけが行うものではありません。
不正のトライアングル(動機・機会・正当化)の三条件が揃うと、誰でも踏み出し得るとされます。
■第1に動機。生活費の不足、借金、成績プレッシャーなど。
■第2に機会。現金運用の仕組みに穴があったり、チェックが属人的だったりすると、やりやすくなります。
■第3に正当化。「少しだけ」「忙しかったから」「みんなやっている」。自分の中で理屈が通れば、抑止は効きません。
飲食の店舗は繁忙差が大きく、理由を付けやすい操作が豊富です。だからこそ、表面の書類やサンプル検査だけでは見抜けません。
解決策:POSジャーナルを「24時間・全件・相関」で見る
解決のポイントはシンプルです。POSジャーナルを全件収集し、時間帯・担当者・操作内容の相関を横断的に見ること。
返金が特定の時間帯や担当者に偏っていないか。閉店前に取り消しが集中していないか。
値引きと再会計が短時間に繰り返されていないか。こうした偏りは、全件を並べて見ない限り浮かび上がりません。
店舗側のオペレーションは変える必要はありません。
必要なのは既存のPOSデータを当社システムに連携させること。
初期導入時には当社側での設定・調整が必要ですが、店舗の負担は最小限に抑えられます。
導入後に起きる3つの変化
1. 早期発見:少額のうちに異常に気づけるため、長期間にわたる累積被害を未然に防げます。「気づいた時には大きな金額」という事態を防ぎ、早い段階で対処できます。
2. 抑止力:仕組みがあると知られるだけで、不正に手を出しにくくなります。実際には「やろうとしたけれど未遂に終わる」ケースが減るため、店舗の健全性が自然と高まります。
3. 安心感の向上:仕組みがあることで「必要以上に疑わなくて良い」環境になります。記録に基づいて確認できるため、店舗のスタッフも本部も、余計な不信感を持たずに業務を進められます。
導入前によくいただくご質問・ご心配
――「うちは信頼で回しているけど大丈夫?」
信頼を前提にしつつ、仕組みで支えることで店舗を守れます。疑うためではなく、安心して働ける環境づくりにつながります。
――「サンプル点検で十分では?」
サンプル抽出では偶然に頼る部分が大きく、小さな不正は見抜きにくいのが実情です。しかも、そのような不正は継続して積み上がる傾向が強いため、全件解析で早めに把握することが重要です。
――「店舗が反発しないか心配」
この仕組みは売上を守るためのものであり、従業員を責めるものではありません。記録があることで濡れ衣を避けられ、店舗にとっても安心材料となります。結果として、不正防止と同時に従業員の信頼を守ることにつながります。
よくある不正の実例
- ①レシート不要時の「レジマイナス」
現金会計でレシート不要と言われた際、レジ会計を完了させず退店後にレジマイナスで会計処理。マイナス分を着服。
- ②満額受領 → 値割引会計で差額を抜く
代金を満額で受け取り、会計上は値割引を適用。値引き差額を横領。
- ③不要な修正会計で差額を着服
実態のない修正会計を行い、差額を自己取得。
- ④アイドルタイム/閉店前の値割引乱用
人の少ない時間帯や閉店前に値割引を多用し、差額を着服。
▼ 3分動画で解説!現金不正を防ぐ仕組み
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