飲食店の利益率は何%が目安?本部が取り組むべき数値の見える化と改善策
飲食店の利益率を改善するには、売上を増やすだけでなく、食材原価、人件費、経費を分解し、店舗ごとの数値を継続的に確認することが重要です。
本記事では、飲食店で使われる利益率の種類や計算方法、利益が残りにくい原因、FLコストを中心とした具体的な改善方法を解説します。
飲食店を経営するうえで、売上と同じくらい重要なのが「利益率」です。売上が伸びていても、食材原価や人件費、家賃などの支出が増えていれば、店舗に十分な利益は残りません。
特に多店舗展開している飲食企業では、店舗数が増えるほどデータの集計や比較が難しくなります。月次の損益が確定してから問題に気づく運用では、改善策を実行するまでに時間がかかってしまいます。
利益率を改善するためには、売上とコストを店舗別・日別に分解し、問題が起きている場所を早期に把握することが重要です。
飲食店の利益率とは?3つの利益を整理

利益率とは、売上高に対してどの程度の利益が残ったかを示す割合です。基本的な計算式は次のとおりです。
利益率の計算式
利益率(%)=利益÷売上高×100
たとえば、月間売上高が500万円、営業利益が50万円の場合、営業利益率は10%です。
ただし、飲食店の利益には複数の種類があります。どの利益を基準にするかによって、数値の意味が変わるため注意が必要です。
売上総利益とは
売上総利益は、売上高から食材や飲料などの売上原価を差し引いた利益です。一般的には「粗利」と呼ばれます。
売上総利益を見ることで、メニュー価格や食材原価の設定が適切か、仕入価格の上昇が収益にどの程度影響しているかを確認できます。
営業利益とは
営業利益は、売上総利益から人件費、家賃、水道光熱費、販促費など、店舗運営にかかる経費を差し引いた利益です。
飲食店で「利益率を改善したい」と考える場合は、本業によってどの程度の利益を生み出せているかを示す営業利益率を重視することが一般的です。
純利益とは
純利益は、営業利益に営業外収益や営業外費用、特別損益、税金などを反映した最終的な利益です。
店舗運営の改善には営業利益を、企業全体の最終的な収益性や財務状況を確認する場合は純利益を確認するなど、目的に応じて使い分けます。
| 利益の種類 | 計算の考え方 | 確認できること |
|---|---|---|
| 売上総利益 | 売上高-売上原価 | メニュー価格や食材原価の妥当性 |
| 営業利益 | 売上総利益-店舗運営にかかる経費 | 本業による収益力や店舗運営の効率 |
| 純利益 | 営業利益に営業外損益や税金などを反映 | 企業に最終的に残る利益 |
飲食店の適正な利益率は、業態、客単価、立地、店舗規模、家賃、人員配置などによって異なります。「営業利益率10%」を一つの目標に置く企業もありますが、すべての店舗に共通する絶対的な基準ではありません。
まずは自社の過去実績や予算、同じ業態の店舗を比較し、現実的な目標値を設定することが大切です。
飲食店の収支管理で確認したい指標や損益分岐点については、飲食店経営の収支管理で見るべき数値と改善方法でも詳しく解説しています。
FLコストとあわせて確認したいKPIについては、飲食店経営で確認したいKPIとFLコストの活用方法をご覧ください。
飲食店の利益率が上がりにくい理由

売上を確保できているにもかかわらず、十分な利益が残らない飲食店は少なくありません。利益率が上がりにくい背景には、原価高騰だけではなく、店舗管理の仕組みに関する問題が隠れている場合があります。
月次集計では問題への対応が遅れる
売上、食材原価、人件費などの数値が月末の締め処理後にしか確認できない場合、異常に気づいた時点ではすでに翌月に入っています。
たとえば、人件費が予算を超過していたとしても、月末まで気づかなければ、シフトを調整できる期間は残されていません。食材の過剰発注や廃棄についても同様です。
月次の損益確認は必要ですが、店舗運営を改善するためには、日次や週次でも進捗を確認できる仕組みが求められます。
売上・勤怠・仕入データが分散している
売上はPOS、勤怠はタイムレコーダーや表計算ソフト、仕入れは受発注システムというように、データが複数の場所に分散していることがあります。
システム同士が連携されていない場合、本部担当者が各データを回収し、表計算ソフトへ転記して集計しなければなりません。
- 店舗ごとに提出形式や締め時間が異なる
- データの転記や貼り付けでミスが発生する
- 数値を集めるだけで時間がかかる
- 集計が終わるまで店舗間の比較ができない
集計作業に時間を取られるほど、本部が原因分析や店舗支援に使える時間は少なくなります。
シフトや発注が経験と勘に依存している
シフト作成や食材発注を店長の経験だけに任せていると、店舗ごとに管理精度の差が生まれます。
優秀な店長がいる店舗では利益を確保できても、人員配置や発注量の判断基準が共有されていなければ、ほかの店舗へ再現することができません。
本部が結果だけを見て「人件費を削減してください」「原価を下げてください」と指示しても、現場は具体的に何を変えるべきか判断しにくくなります。
店舗別の実態が正しく見えていない
複数店舗を展開している企業では、ヘルプ勤務や店舗間移動などにより、実際に費用が発生した店舗とデータ上の所属店舗が一致しないことがあります。
ヘルプ勤務の人件費が所属店舗に計上されたままでは、応援を受けた店舗の本来の人件費率が見えません。店舗別損益を正しく比較するには、実際の勤務先に応じて人件費を集計する必要があります。
利益改善の第一歩は数値の見える化

飲食店の利益率を改善するには、最初から大規模なコスト削減や値上げを行うのではなく、現在の数値を正しく把握することが重要です。
まず確認したいのは、利益が減っている原因が売上、食材原価、人件費、その他経費のどこにあるのかという点です。
- 売上と利益の予算・実績差を確認する
- 食材原価率と人件費率を分けて確認する
- 店舗別・曜日別・時間帯別に比較する
- 異常値が発生した原因を店舗へ確認する
- 改善策を実行し、翌日以降の数値で効果を確認する
この流れを継続すると、「売上が悪かった」という結果だけでなく、「ランチ帯の人員が売上に対して多かった」「特定メニューの原価が上昇していた」など、具体的な改善ポイントを見つけやすくなります。
数値の見える化で大切なこと
数値を表示するだけで終わらせず、予算差、前年差、店舗差を比較し、現場が次の行動を判断できる状態にすることが重要です。
売上を増やして利益率を改善する方法
利益率を改善する方法は、大きく「売上を増やす方法」と「コストを適正化する方法」に分けられます。
まずは売上を増やす代表的な施策を確認しましょう。
メニュー構成を見直す
売上高や販売数量を基準にメニューを分類し、売れ筋商品と不振商品を明確にします。
販売数が多く利益への貢献度も高いメニューは、メニューブックや注文画面で目立たせます。一方、販売数が少なく原価率も高いメニューは、価格、食材、盛り付け、提供方法の見直しが必要です。
売上だけではなく、メニューごとの粗利額や原価率も確認することで、利益を生みやすい商品構成を検討できます。
客単価を高める
客単価を高めるために、単純な値上げだけを検討する必要はありません。
- セットメニューやコースを提案する
- トッピングやサイドメニューを案内する
- 季節限定商品や高付加価値商品を用意する
- ドリンクやデザートを注文しやすい導線を作る
お客様の満足度を損なわずに注文点数を増やせれば、客単価と利益額の向上が期待できます。
回転率と稼働率を改善する
混雑時間帯における案内、注文、調理、配膳、会計の流れを見直し、待ち時間を減らします。
モバイルオーダーやセルフレジの導入だけでなく、スタッフの動線、仕込み方法、座席配置、予約枠の設定なども回転率に影響します。
ただし、回転率を追い求めるあまり接客品質が下がると、再来店率に影響する可能性があります。売上だけではなく、顧客満足度とのバランスを確認することが大切です。
販売機会の損失を減らす
欠品、提供遅延、人員不足、予約管理の不備などによる販売機会の損失も、利益を圧迫する要因です。
時間帯別の売上や客数、販売商品、人員配置を比較すると、どの時間帯で機会損失が発生しているかを把握しやすくなります。
コストを適正化して利益率を改善する方法
コスト削減では、必要な支出まで一律に減らすのではなく、売上に対して過剰になっている費用を見つけることが重要です。
FLコストを管理する
FLコストとは、食材原価を示すFoodと、人件費を示すLaborを合計した費用です。
FL比率の計算式
FL比率(%)=(食材原価+人件費)÷売上高×100
食材原価と人件費は、飲食店の支出において大きな割合を占めます。そのため、FLコストを継続的に確認することが、利益率改善の基本となります。
ただし、FL比率だけを見て一律に人員や食材を減らすと、サービス品質や売上が低下する可能性があります。売上予測や客数、時間帯別の繁閑を踏まえて調整する必要があります。
FLコストとあわせて確認したいKPIについては、飲食店経営で確認したいKPIとFLコストの活用方法をご覧ください。
シフトを売上予測に合わせる
シフト作成時には、希望シフトだけでなく、予測売上、モデル人員、予定人件費をあわせて確認します。
曜日や時間帯ごとの売上傾向に合わせて人員を配置することで、人手不足による機会損失と、過剰配置による人件費増加の両方を防ぎやすくなります。
当日の売上進捗や勤怠実績も確認し、必要に応じて休憩時間や退勤時間を調整するなど、日中の運用も重要です。
食材ロスと在庫差異を減らす
食材ロスには、廃棄、調理ミス、過剰な仕込み、発注ミス、ポーションのばらつきなど、さまざまな原因があります。
理論上の食材使用量と棚卸による実際の在庫を比較すると、どの商品や食材で差異が発生しているかを確認できます。
- 廃棄理由を記録する
- レシピと使用量を統一する
- 発注量と販売実績を比較する
- 在庫差異が大きい食材を重点的に確認する
廃棄金額だけでなく、発生理由まで記録することで、発注、仕込み、調理、保管のどこを改善すべきか判断しやすくなります。
水道光熱費や販促費を見直す
電気やガスの契約プラン、省エネ機器、空調の運用などを見直すことで、水道光熱費を抑えられる可能性があります。
販促費については、実施した施策ごとに来店数、売上、客単価、再来店などを確認します。効果を測定できていない施策を継続するのではなく、費用対効果を比較して投資先を選ぶことが大切です。
FLコストの日次見える化で改善を早める

利益率を改善するための施策を理解していても、売上、勤怠、仕入れのデータを毎日手作業で集計するのは容易ではありません。
多店舗展開では、店舗数が増えるほどデータ量が増え、店舗ごとの提出状況や入力精度にも差が生まれます。
そこで重要になるのが、POSの売上データ、勤怠実績、仕入データを連携し、FLコストを日次で確認できる仕組みです。
売上・勤怠・仕入データを一元管理する
飲食店向け店舗管理システム「まかせてネット」では、POSから取得した売上情報、勤怠実績、仕入情報などを一元管理できます。
異なるシステムからデータを集めて表計算ソフトへ転記する作業を減らし、売上、食材原価、人件費を組み合わせた確認がしやすくなります。
店舗別の進捗や異常値を確認する
予算、前年実績、当月実績などを比較できるようにすると、利益率が悪化している店舗を早期に見つけられます。
売上や仕入原価率、過重労働などの重要項目をアラートで表示すれば、本部担当者がすべての数値を一つずつ確認しなくても、対応が必要な店舗を絞り込めます。
ヘルプ勤務の人件費を勤務店舗へ反映する
複数店舗間でヘルプ勤務が発生する企業では、打刻した勤務店舗をもとに人件費を集計することで、実際に人件費が発生した店舗の損益へ反映できます。
本部で店舗間の振替処理を行う負担を減らし、店舗別の人件費率やFLコストをより正確に把握しやすくなります。
必要なレポートをすぐに確認する
店舗管理では、数値を集めること自体が目的ではありません。確認した数値をもとに、店舗への連絡やシフト調整、発注量の見直しなどを実行することが重要です。
役割に応じて必要な機能やデータだけを表示し、自社の運用に合わせたレポートを確認できれば、本部、エリアマネージャー、店長がそれぞれの業務に必要な情報を把握しやすくなります。
飲食店の利益率に関するよくある質問
飲食店の利益率は何%を目標にすべきですか?
適正な利益率は、業態、立地、客単価、家賃、人件費、店舗規模によって異なります。営業利益率10%を一つの目標とする企業もありますが、一律の基準として考えるのではなく、自社の過去実績や予算、同業態の店舗を比較して目標を設定することが大切です。
利益率と原価率の違いは何ですか?
利益率は、売上に対してどの程度の利益が残ったかを示す割合です。一方、原価率は、売上に対して食材や飲料などの売上原価がどの程度かかったかを示します。
原価率が下がっても、人件費や家賃などが増えていれば、営業利益率が改善するとは限りません。
売上が増えているのに利益率が下がるのはなぜですか?
売上の増加以上に食材原価、人件費、販促費などが増えている可能性があります。値引きによる売上増加や、原価率の高い商品の販売増加、残業時間の増加なども原因になります。
売上高だけでなく、粗利額、食材原価率、人件費率、FL比率をあわせて確認してください。
利益率は月次で確認すれば十分ですか?
会社全体の業績確認には月次の損益が必要ですが、店舗運営の改善には日次や週次の確認も有効です。
売上進捗、人件費、仕入額などを月の途中で確認できれば、シフトや発注量を調整し、月末までに軌道修正できる可能性が高まります。
多店舗展開ではどの数値を比較すべきですか?
売上や利益額だけでなく、食材原価率、人件費率、FL比率、人時売上高、客単価、客数などを比較します。
店舗規模が異なる場合は、金額だけでは正しく比較できないため、売上に対する比率や一人・一時間あたりの指標も確認することが重要です。
まとめ:月次の結果確認から日次の利益管理へ
飲食店の利益率を改善するには、値上げやコスト削減を個別に進めるだけではなく、売上、食材原価、人件費、その他経費を分解して確認することが重要です。
特に多店舗展開では、各店舗のデータを本部へ集め、月次で集計するだけの運用では、問題への対応が遅れやすくなります。
売上、勤怠、仕入れのデータを一元化し、FLコストや予算進捗を日次で確認できれば、発注量やシフトを月の途中で見直せます。本部から店舗への指示も、感覚的なものではなく、具体的な数値に基づいて行えるようになります。
利益率改善の第一歩は、どこで利益が失われているのかを、店舗と本部が同じ数値で確認できる環境を整えることです。
「まかせてネット」は、売上管理、勤怠管理、仕入管理を組み合わせ、飲食店のFLコスト管理と経営の見える化を支援します。

