【Vol.25】正常なVOIDと不自然なVOIDは何が違う?POSジャーナルで見る監査の着眼点
飲食店のPOSレジでは、注文内容や数量、支払方法などを修正するために、VOID(会計取消)が行われることがあります。
VOID自体は店舗を運営するうえで必要な操作であり、VOIDが発生したからといって、直ちに不正とは限りません。
一方で、会計を取り消した後に、対応する修正後の会計が見当たらない場合など、取引の流れを詳しく確認したほうがよいVOIDもあります。
しかし、正常なVOIDかどうかを判断するには、POSジャーナルから対象取引を探し、取消前後の会計をたどり、修正後の会計と内容を照合しなければなりません。
今回は、正常なVOIDと追加確認が必要なVOIDの違いと、多店舗のVOID監査を効率化する考え方をご紹介します。
※本記事で取り上げる「不自然なVOID」は、監査時に追加確認したい取引を示すものであり、不正を断定するものではありません。
- 課題:VOIDの確認には、取消前後のPOSジャーナルを一件ずつ追う作業が必要
- 着眼点:VOID後に対応する修正会計があるか、取引内容に整合性があるかを確認
- 効率化:全件を目視するのではなく、確認を優先すべき取引を抽出して監査する
VOIDは店舗運営に必要な操作

VOIDとは、POSレジに登録した会計を取り消す操作です。
注文内容の入力間違いや、商品の数量変更、支払方法の訂正など、通常の店舗業務でも発生します。
- ・会計後に商品や数量、金額の誤りが判明した
- ・現金とクレジットなど、支払方法の誤りが判明した
- ・別のテーブルや伝票の会計を誤って処理した
- ・顧客からの申し出により、会計内容の修正が必要になった
このように、VOIDは誤った会計を正しい内容へ修正するために必要な操作です。
そのため、監査ではVOIDの件数だけを見るのではなく、取消後にどのような会計処理が行われたかまで確認することが重要です。
正常なVOIDに見られる取引の流れ
正常なVOIDでは、誤った会計を取り消した後に、内容を修正した会計が行われます。
- 商品、数量、金額、支払方法などの誤りに気づく
- 誤った会計をVOIDする
- 内容を修正して再度会計する
- VOIDした会計と修正後の会計に、説明できるつながりがある
たとえば、商品の数量を誤って登録した場合は、VOID後に正しい数量で会計されていることが確認できます。
支払方法を誤った場合も、取消後に別の支払方法で処理された会計が残ります。
修正の内容によって合計金額が変わることはありますが、商品構成や金額、操作の順序を確認すると、なぜVOIDが必要だったのかを説明できます。
VOID後に、商品や数量を訂正した会計が確認でき、取引内容につながりがあります。
誤った支払方法の会計を取り消し、正しい方法で再会計されていることを確認できます。
VOID前後の会計を照合すると、通常の訂正操作として取引の流れを説明できます。
追加確認したい不自然なVOIDパターン

一方、VOID後の取引を確認しても、対応すると考えられる修正会計が見当たらない場合があります。
また、修正後と思われる会計は存在していても、商品や金額のつながりを説明しにくいケースもあります。
- ・取消後に修正した会計がある
- ・商品や金額につながりがある
- ・操作の流れを説明できる
- ・通常の訂正処理として確認できる
- ・対応する修正会計が見当たらない
- ・取消前後の取引内容につながりがない
- ・同じようなVOIDが繰り返されている
- ・特定のスタッフや時間帯に偏っている
たとえば、現金を受け取った会計を顧客の退店後に取り消し、その後に対応する会計が登録されていない場合は、詳しい確認が必要です。
ただし、再会計が別のレジで行われた、店舗独自の対応があったなど、正当な理由が存在する可能性もあります。
不自然なVOIDは不正の確定ではなく、店舗への確認や追加調査を行うきっかけとして扱います。
POSジャーナルによるVOID監査が大変な理由

VOID監査で難しいのは、取消取引を見つけることだけではありません。
そのVOIDが通常の訂正操作だったのかを確認するためには、取消前後の取引を一件ずつ追う必要があります。
- POSジャーナルからVOID取引を抽出する
- VOIDした会計の商品、金額、担当者などを確認する
- 取消前後のジャーナルをたどる
- 対応すると考えられる修正後の会計を探す
- 商品構成や金額、支払方法などを照合する
- 確認結果を記録し、必要に応じて店舗へ確認する
1件だけであれば、人の目で詳しく確認することもできます。
しかし、多店舗で毎日発生するVOIDを対象に、同じ作業を繰り返すには多くの時間がかかります。
また、修正後の会計は必ずしも直後に登録されるとは限らず、元の会計とまったく同じ金額になるとも限りません。
そのため、単純な検索だけでは判断できず、監査担当者の経験や注意力に頼りやすくなります。
店舗数や取引件数が増えるほど、すべてのVOIDを人の目だけで確認することは難しくなり、確認できる店舗や期間を限定したサンプル監査になりがちです。
VOID監査で確認したいポイント
VOID監査では、取消件数だけで判断せず、取引の前後関係や発生傾向を組み合わせて確認します。
VOID後に、対応すると考えられる修正後の会計が登録されているかを確認します。
商品、数量、金額、支払方法などに、修正として説明できるつながりがあるかを見ます。
特定のスタッフに同様のVOIDが集中していないか、継続的な傾向を確認します。
閉店前など、特定の時間帯に操作が偏っていないかを確認します。
他店舗と比べてVOIDが多いか、同じパターンが繰り返されていないかを確認します。
POSジャーナルや店舗への確認を通じて、通常の修正処理として説明できるかを判断します。
一つの条件だけで不正を判断するのではなく、複数の情報を照合し、通常の会計修正との違いを確認することが重要です。
確認対象を自動で絞り込む不正検知

多店舗のVOIDを効率よく監査するには、監査担当者が全取引を最初から目視するのではなく、確認を優先すべき取引をあらかじめ絞り込む方法が有効です。
まかせて不正検知では、POSから取り込んだ取引データを分析し、VOID後の会計処理や取引内容などをもとに、通常の修正操作とは異なる可能性がある取引を抽出します。
- POSデータを取り込む
- 複数の検知ロジックで取引を分析する
- 確認を優先すべき取引を抽出する
- 会計明細やPOSジャーナルを確認する
- 必要に応じて店舗へ確認し、監査結果を登録する
- 発生傾向を継続して確認し、再発防止につなげる
抽出された取引は、会計明細やPOSジャーナルを参照しながら監査担当者が確認します。
システムが不正を自動的に断定するのではなく、人が詳しく確認すべき取引を見つけるための仕組みです。
また、店舗別の発生状況やスコアの推移を確認することで、単発の取引だけでなく、店舗やスタッフごとの継続的な傾向も把握しやすくなります。
これにより、従来の目視確認やサンプル監査から、全店舗・全会計を日次で確認し、疑わしい取引を重点的に監査する運用への転換を支援します。
まとめ:現金不正を発見から抑止へ
VOIDは、注文間違いや支払方法の訂正など、店舗運営に必要な操作です。
そのため、VOIDが発生した事実だけでは、正常な修正なのか、追加確認が必要な取引なのかを判断できません。
正常なVOIDでは、取消後に修正した会計があり、商品や金額、操作の流れを説明できます。
一方、対応する修正会計が見当たらない場合や、取引内容につながりがない場合は、POSジャーナルを詳しく確認する必要があります。
しかし、全店舗のVOIDを一件ずつ抽出し、前後の会計を追い、内容を照合する作業には大きな負担がかかります。
確認対象をシステムで絞り込み、監査担当者が重要な取引に集中できる仕組みを整えることが、多店舗監査の効率化につながります。
不自然な取引を早期に発見し、確認や店舗対応の履歴を残しながら継続的に監査する。
不正を見抜くだけでなく、不正が起きにくい環境をつくることが重要です。
まかせて不正検知では、POSデータから確認を優先すべき取引を抽出し、
会計明細やジャーナルの確認、監査活動の記録、店舗別の傾向把握を支援します。
まずは現在の監査方法やお困りの点をお聞かせください。
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